修学旅行・教育旅行における「探究的な学習」は、単なる見学から、現実社会の課題解決に取り組むPBL(課題解決型学習)へ進化しています。生徒が自ら問いを立て、情報収集・分析を経て解決策を提案する探究のプロセスを特別活動の「修学旅行」とつなぐことで、深い学びが生まれます。
新学習指導要領において、「総合的な探究の時間」と「特別活動(修学旅行)」は以下のように位置づけられ、連動することが求められています。
【総合的な探究の時間】:
自ら課題を発見し、探究するプロセス(課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現)を通して、自己の生き方を考える力を養う時間です。修学旅行の事前学習(地域課題の調査など)と事後学習(解決策のプレゼンなど)の核となります。
【特別活動(修学旅行は学校行事)】:
集団生活や体験活動を通じて、人間関係の形成や社会性を育む領域です。修学旅行自体を「探究の実践の場」と捉え、総合的な探究の時間で培った課題意識を現場で検証し、体験から新たな気づきを得る場として機能させます。


修学旅行の行程に、探求プログラムが組み込まれている



総合的な探求時間に、修学旅行が組み込まれている



「特別活動と探究活動」は親和性が高い

2つの探求活動
PBL型探究
【特徴】
成果物(プロジェクト)重視の学び方
現実社会の課題をテーマに、チームで協働しながら課題解決に取り組む。
学習のゴールは「解決策の提案」や「具体的なアウトブット(発表·制作物)」に置かれる。
【目的】
社会での実践力・協働力・プレゼンカを育てる。
課題解決プロセスを通じて、学んだ知識を社会的文脈で活用できる力を養う。
探究学習型探究
【特徴】
問い(Why?/How?)から始まる思考重視の学び方
生徒自身が関心を持ったテーマについて、自ら問いを立て、情報を集め、考察し、結論を導く。
ゴールは「知的理解の深化」や「価値観・視点の変容」
【目的】
主体的に学ぶ姿勢と、論理的·批判的思考力を養う。
自分なりの「問い」を軸に、学問的アプローチで深り下げる力を育てる。
「体験」を「探求」にする➡異空間体験で対話する
認知分野におけるBloomのタクソノミーの6つのレベルと具体例

体験フェーズ:知識・理解・応用
🍃体験フェーズ(事前学習~初日夜)
①知識(記憶)
<目的>
地域やテーマに関する基礎情報を得て、現地理解の土台をつくる。
<活動例>
資料・動画・地図などで地域を調べ、現地での問いを設定する。
<対応時期>
地域学習(地域研究)
②理解
<目的>
得た情報の意味を自分の言葉で整理し、グループで共有して理解を深める。
<活動例>
「なぜこの地域を訪れるのか」「自分たちは何を学びたいのか」を話し合い、マインドマップや目的カードを作成する。
<対応時期>
事前学習~出発前
③応用(行動+内容)
<目的>
現地での体験を通じて知識を行動に移し、体験の意味を内省しながら探求へつなげる。
<活動例>
地域人材へのインタビュー、作業体験、観察、フォトボイス記録などを行う。夜には「ナイトリフレクション」で1日の体験を振り返り、印象的な場面や心の動きを共有。その後、グループで「問いの再設定ワーク」を行い、翌日の目的(次に何を確かめたいか・誰に会いたいのか)を明確にする。
<対応時期>
2泊3日 初日午後~夜
探求フェーズ:分析・評価・創造
🍃探求フェーズ(2日目~事後学習)
④分析
<目的>
体験を振り返り、出来事の背景や構造を多角的に捉える。
<活動例>
グループで体験内容を整理し、「なぜそうなっているのか」を考察する。
<対応時期>
2日目 午前・午後
⑤評価
<目的>
他者や自分の視点を比較し、学びの価値や意味を見出す。
<活動例>
他グループとの共有・発表を通じて、地域や自分の成長を再評価する。
<対応時期>
最終日 午前
⑥創造
<目的>
学びをもとに、新たな視点や行動を生み出し、地域との関係を再構築する。
<活動例>
「関係人口」として地域にどう関わるかを考え、アクションプランを作成する。
<対応時期>
事後学習(振り返り・発表)
探求プロセスモデル
①事前知識
↓
②体験
↓
③内省
↓
④問いの設定
↓
⑤分析
↓
⑥再構成
↓
⑦発表・共有
体験を「素材」にする
➡体験は目的ではなく、思考を深める素材。
問いを「上位化」する
➡「どうだった?」ではなく「なぜ?どうすれば?」へ。
他者との対話を「構造化」する
➡他者との比較・共有・再構成する場面を必ず設ける。
他者とは「自分を揺さぶるすべての存在」
地域との対話
QSTにおけるSELの焦点
・地域への共感・地域人材への共感を育む。
・自分の先入観を手放し、現地での出会いから新しい価値観に気づく。
・「どう思ったか」よりも「どう感じたか」に焦点を当てる。
・地域との違いを、生活だけでなく考え方・在り方まで掘り下げて考える。